「セルフメディケーション.com」に「市販の胃薬と処方せんが必要な胃薬の違い」についてまとめました。


「セルフメディケーション.com」に「市販の胃薬と処方せんが必要な胃薬の違い」についてまとめました。先日の記事のお薬の作用機序をより詳しく、加筆修正しています。

市販の胃薬と処方せんが必要な胃薬の違い → https://xn--dck2asn4d6d1d6b3a1gue.com/archives/103


H2RA(代表例:ガスター、アシノン)

テレビCMは最近していないような気がしますが、ガスター10やアシノンZでお馴染みの胃薬です。H2RA(Histamine H2-receptor antagonist)と呼ばれるカテゴリのお薬です。胃酸を出す細胞に命令を出しているヒスタミン2受容体の働きを抑えることで、胃酸分泌が抑えられます。H2RAが開発されるまでは、胃酸を抑える手立てがなかったので、胃潰瘍の治療にブレイクスルーをもたらしたお薬です。
食事の影響を受けず(アルコールに影響を与える、後述)、3時間ほどで効果が出てくるため、胃の調子が悪い、胸焼け、ゲップといった症状が出始めているときに使うといいです。ただし、1週間ほどで胃酸分泌に耐性が出てきて2週間後にはあまり効かなくなってくることが多いため、長期で使いたい場合は後ほど紹介するPPI(Proton pump inhibitor)というカテゴリーのお薬を使うことが多いです(PPIは医師の処方せんがないとご用意できないお薬です)。 ファモチジンの他にもラフチジン、ニザチジン、ラニチジンといったH2RAがあります。食べ過ぎ、飲み過ぎ、胃腸炎の初期症状に対して使い分けをあえてすることはないため、ファモチジンで十分対応できると考えています。ドラッグストアでH2RAが入った胃薬を購入するときは、第一類医薬品のため、薬剤師がいないと購入できないので注意が必要です。
逆流性食道炎まで発展すると、H2RAは第一選択薬ではないため、病院での専門治療(PPI投与)が早いです。胸焼けやゲップで弱っている胃をいたわるためにも、ファモチジンによる胃酸分泌抑制で症状を緩和し、その間に食生活を胃に優しいものにするとよいです。ざっくり言えば、脂肪やタンパク質が多い食べ物、唐辛子などの香辛料、根菜といった消化に悪い食べものを控えるとよいです。アルコール分解酵素を阻害する効果もあるため、アルコールを飲んだ状態での服用は二日酔いが強くなる原因になるため、おすすめしません。なお、腎臓が悪い人は量を調節して使用する必要がありますので、かかりつけの医師か、かかりつけ薬剤師とご相談ください。 現在販売しているH2RA成分一覧
・ファモチジン(OTC販売名:ガスター10、ニチブロック10、ベッセン10等)
・ラニチジン(OTC販売名:三共Z胃腸薬、大正エスブロックZ)
・ラフチジン(薬局零売のみ取扱ですが、ファモチジンで十分です)
・ニザチジン(OTC販売名:アシノンZ)

PPI(代表例:パリエット、ネキシウム、タケプロン)※処方せん医薬品

医師の処方せんによって使用することができるお薬PPI(Proton pump inhibitor)は、胃酸の分泌をH2RAよりも強く抑えることができます。H2RAは胃酸を出す前段階で止めようとしていましたが、PPIは胃酸を出す場所そのものにくっついて、胃酸を出さないようにします。
細かく解説すると、PPIは胃酸によってスルフェンアミド体に変化して、胃酸を出す場所(プロトンポンプ)のシステイン残基と呼ばれる場所にとても強力に結合(ジスルフィド結合)することで、胃酸分泌を止めることができます。 しかし、飲んですぐに効果が出るわけではありません。だいたい3~4日後から胃酸分泌抑制作用が出てきます。何故かと言うと、PPIは飲んで胃に直接作用しているわけではなく、腸で溶けて、血管に入ってから、胃の細胞に到達してようやく効果を示すからです。胃酸にとても弱く、胃細胞の胃酸が出るポイントに到達する前に分解されてしまうため、回り道して、血管から胃の細胞に出てきて、活性化されてから胃酸を止めるという感じです。胃酸で活性化するけども、胃酸に弱いというなんとも言えない薬です。
このPPIは逆流性食道炎や胃潰瘍と診断されると真っ先に処方されるお薬の一つです。この薬は基本的に、調子が悪いと飲んで、調子が良くなったら中断というものではありません。前述したとおり、即効性がないためです。処方された日数分しっかり飲み切るほうが効果がでます。逆流性食道炎に関して言えば、H2RAは治療率52%くらいなのに比べて、PPIは84%の治療率をもっています(8週間使用した場合)。H2RAを倍の濃度で使ってもPPIの治療成績を上回ることができないです。1週間ファモチジンを使っても症状が改善しない場合は医師の専門治療によるPPI処方をおすすめしているのは、治療成績の観点からです。
余談ですが、PPIは海外では大型スーパーでも手に入ります。2018年の春にPPIがOTCとして一般のドラッグストアでも販売できるかどうか検討されていましたが、見送られた経緯があります。零売でも販売できないのがとても残念です。なお、PPIは人によっては効果が出にくい人がいることが遺伝学的にわかっています。PPIの中でも、ラベプラゾールとエソメプラゾールは比較的多くの人に効果がありますが、8週間使っても効果不十分の場合は後述するタケキャブ(P-CAB)の使用が検討されます。

P-CAB(タケキャブ)※処方せん医薬品

P-CAB(Potassium-Competitive Acid Blocker :商品名タケキャブ)は最近販売された、PPIの弱点を克服したようなお薬です。PPIの弱点とは、「効果が出るのが遅い」「酸にすぐ分解されてしまう」「PPIのように効果が出づらい人が少ない」の3つがありますが、タケキャブは「すぐに効果が出る」「酸に安定」「効果に個人差が出にくい」と、とても使いやすいのが特徴です。胃酸が出るプロトンポンプには、カリウムというイオンが必要ですが、タケキャブはそのイオンの通り道を塞ぐことで、プロトンポンプが稼働しないようにすることができるお薬です。また、PPIに比べると胃酸に安定なので、プロトンポンプのイオンの通り道を塞ぎ続けることができます。 2014年に発売されており、発売されて20年以上経っているPPIと比べると、長期使用の副作用のデータの蓄積が少ないのがデメリットです。PPIで十分効果が出ている人があえて使うお薬ではないです。タケキャブも薬局では販売できません。医師の処方せんによってご用意できるお薬です。治療成績はPPIと同等かそれ以上です。 上記3つのカテゴリのお薬は胃酸の分泌を止めるお薬(攻撃因子を抑えるお薬)です。次は、胃酸から守るために使われるお薬について紹介します。

スクラルファート(スクラート胃腸薬、イノセアグリーン等)

胃と十二指腸の潰瘍部分のタンパク質に選択的に結合して、保護層を作ってくれるお薬です。胃がキリキリ痛むような場合に適していますが、そもそもタンパク質が露出していない(潰瘍がない)場合はあまり効果がありません。なので、スルラルファート単剤での使用はあまりおすすめしていないです。空腹時に使うことで保護層を形成しやすいです。一度保護層が作られると、6時間位は効果が持続します。基本的に1日3回、空腹時に使いますが、金属イオンが入っているため、他のお薬との飲み合わせが悪い場合があります。飲み合わせの問題を回避するためには、飲み合わせの悪いお薬と2時間あけて服用することが求められますが、飲み続けることが難しくなってしまいます。また、透析されている方は使えないお薬です。

水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム(サクロン、液キャベ等)

サクロンなど、総合胃薬には漢方薬(安中散がメイン)とセットで水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなど、胃酸を中和するためによく配合されています。胃酸の攻撃力を少しでも弱めるために使います。金属イオンはお薬との飲み合わせが悪いことがあるので、使用する際は今飲んでいるお薬との飲み合わせが大丈夫かどうかしっかりかかりつけの医師、薬剤師と確認し合うことが大事です。特に、抗生剤と一緒に服用すると抗生剤の効果が大幅になくなってしまうことがあるため、抗生剤を飲んでいる意味がなくなることもあります。

レバミピド(ムコスタ)

胃粘膜を増やして胃酸からの攻撃を守るようにしてくれるお薬です。よくロキソニンとセットで処方されることがあります。これは、ロキソニンやアスピリンといったお薬(NSAIDS)が胃粘膜を減少させてしまう副作用があり、胃粘膜を増やして副作用を抑制するためです。胃潰瘍や逆流性食道炎で胃粘膜が少なくなっているときに補助的に使います。このお薬単体でどうにかできるという感じのお薬ではないです。ロキソニンやアスピリンで胃潰瘍が起きてしまう副作用をNSAIDS潰瘍といいますが、長期間使うときはこの副作用をコントロールするためにも、胃の調子が大丈夫かどうか、医師、薬剤師と相談しながら使用するようにしましょう。胃潰瘍には素直にPPIを使うほうが治りが早いです。

安中散(あんちゅうさん)

ガスターを使っても、市販の胃薬を使っても良くならないというときに使われる漢方薬です(市販の胃腸薬で漢方が入っている場合、だいたい安中散です)。慢性的に胃の調子が悪いときや、胃がキリキリするようなときに使うことがあります。西洋薬では効果が出づらいときに処方されることがあります。

六君子湯(りっくんしとう)

PPIやH2RAと併用すると効果が出やすいとされている漢方薬です。一般的には、食欲不振や消化不良、みぞおちのつかえといった症状に使われます。六君子湯単独で逆流性食道炎をなんとかする感じではなく、西洋薬であるPPIやH2RAと併用して処方されることがあります。ストレス性の症状にも効果があるとされ、六君子湯が現場で出ることは割とよくあることではあります。
※管理人個人の意見ですが、胃潰瘍や逆流性食道炎の診断がついた場合は、よほどの理由がない限り、PPIでの治療をおすすめしています。
 
参考文献
逆流性食道炎の治療ガイドライン → https://www.jsge.or.jp/files/uploads/gerd2_re.pdf
消化性潰瘍の治療ガイドライン → https://www.jsge.or.jp/files/uploads/syoukasei2_re.pdf

この記事を書いた薬剤師

薬局お茶の水ファーマシー
代表取締役・管理薬剤師
片山 陸(かたやま りく)
「セルフメディケーション.com」管理人
一言:風邪や胃腸炎、花粉症といった急性疾患は薬局でもケアできることを広めたい薬剤師です。
東京理科大学薬学部薬学科卒
 

【薬局お茶の水ファーマシーについて】

薬局お茶の水ファーマシーは御茶ノ水・神保町・九段下周辺で夜間土日も営業している唯一の薬局です。処方箋による調剤のほか、風邪や胃腸炎といった症状に合わせて薬剤師がお薬をご提案できます。夜間土日も営業していることから、神保町界隈のビジネスマンによくご利用いただいております。お医者さんのところに行く時間がない、病院が開いていなかったといった方には特にご利用していただきたい薬局です。 処方せんを予め薬局まで画像で送っていただけますと、対応がとてもスムーズです。当薬局で採用している「空飛ぶ処方せん」というアプリをダウンロードすれば、1分程度で処方せんデータを送信することができます。→ 【動画付き】薬局に事前に処方せんを送るアプリ「空飛ぶ処方せん」の使い方

【通常営業時間】

・11時00分~20時00分(月、木、金、土、日)
・16時00分~20時00分(水曜日のみ) ※祝日、お盆休み、年末年始のお休みに関しては別途お知らせよりアナウンスいたします。

【アクセス】 → 交通案内

・都営地下鉄・東京メトロ「神保町駅」A5出口より徒歩4分
・JR中央総武線各駅停車「御茶ノ水駅」御茶ノ水橋口より徒歩7分
とってもおいしいうどんのお店「丸香」さんの向かい、白いタイルのビル(水野ビル)の3階に薬局お茶の水ファーマシーがあります。

【具体的な業務について】

薬局お茶の水ファーマシーはどの医療機関の処方箋も受け付けております。初めて来局される患者様は在庫をお調べいたしますので、03-5577-7646までお電話ください。薬剤師が在庫をお調べいたします。また、お医者さんのところに行く時間がない、休日でどこもやっていないという場合は当薬局の薬剤師が症状に合わせてお薬をご提案することができます。
・咳、鼻水、鼻づまり、発熱、のどの痛みといった風邪症状の対応
・筋肉痛、肩こり、足のつり(こむら返り)といった症状の対応 ・花粉症の対応
・二日酔い、食欲不振、胃炎といった症状
・乾燥肌、皮膚のトラブル
・各種サプリメントや化粧品の相談
・オンラインお薬相談 → https://peing.net/ja/ochanomizu_ph
・医療機関と連携した受診勧奨
以上が薬局お茶の水ファーマシーが対応できる具体的な業務内容です。ちょっと調子が悪い時、お気軽に薬剤師までご相談ください。ご利用者の方の健康をサポートする、というのが薬剤師の仕事です。

注意事項

薬局お茶の水ファーマシーで販売できるお薬は「一般用医薬品」のほか、厚生労働省が定める「処方せん医薬品以外の医療用医薬品」がございます。通常、医療用医薬品は処方箋がないとお薬が交付されませんが、「処方せん医薬品以外の医療用医薬品」のカテゴリは薬剤師が対面し、患者記録・販売記録を管理し、必要最低限の量に限り販売ができます。この販売形式を「零売」といいます。神保町は土日で医療機関が休診しており、ドラッグストアにも薬剤師がいないことがあるため、地域医療への取り組みとして、上記のお薬の販売をしております。お求めの方は、当薬局の薬剤師までご相談ください。初回ご利用の方は法令で定められた簡単なアンケートにご協力ください。

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