「セルフメディケーション.com」に「歯とセルフメディケーション」についてまとめました。
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歯とセルフメディケーション → https://セルフメディケーション.com/archives/132
お口のケアをするとき、歯磨き粉や液体ハミガキ、マウスウォッシュといった商品を使っているかと思います。今回は、市販されている歯のケアに関わる商品について、薬学的な目線から歯とセルフメディケーションについて解説したいと思います。
CPC(塩化セチルピリジニウム)
陽イオン界面活性剤で、歯磨き粉やマウスウォッシュによく入っている殺菌成分です。トローチにも入っている成分なので、知らず知らずの間に利用していることが多いです。細菌の表面にある細胞壁は普段マイナスに帯電しているため、陽イオン界面活性剤がくっついて、細胞膜に浸透することで中から殺菌することができます。歯にも吸着して、歯垢ができるのを抑えることができます。国内で使われている濃度で十分効果を発揮します。CPCが含まれている商品 ・・・ リステリン・トータルケア、モンダミンプレミアムケア、GUMノンアルコール等
CHG(グルコン酸クロルヘキシジン)
陽イオン界面活性剤で、国内だと0.0001~0.002%あたりの濃度で使うように制限されています。海外だと一般的に0.12~0.2%あたりで使用されています。0.01%付近で使っている場合は細菌表面に吸着して、静菌的に作用するとされていますが、0.1~0.5%の濃度だと細菌の内部に急速に侵入して、殺菌作用があるとされています。0.35%以上の高濃度CHGによる副作用報告が相次いだため、1985年に一度粘膜への使用を禁止されました。しかし、歯周病原生細菌の増殖抑制報告があるため、現在では0.05%の原液を薄めて0.001%あたりで使用されています。国内でのプラーク抑制について有用な論文が見当たらないため、使用濃度の見直しか、新たに論文が出てこない限り、使用をおすすめしづらいです。見直しによって海外基準になったところで、味覚障害の副作用が33%だったという報告もあるため、継続使用のコンプライアンスが得られるかどうかが気になる成分です。参考までに、糖尿病患者に対する歯周治療ガイドラインにも同様の記載がありましたので、詳しくはこちらを参照してください。 → https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0070/G0000192/0024CHGが含まれている商品 ・・・ コンクールF、バトラーCHX洗口液
BCT(塩化ベンゼトニウム)
同じく陽イオン界面活性剤で、作用機序もだいたい一緒です。粘膜への刺激性はCHGによりも少ないため、歯医者さんの処方で「ネオステリングリーン」という名前で処方されることが多いです。抜歯後の化膿を予防したり、口腔内の消毒に使われます。陽イオン界面活性剤に言えることですが、しっかり歯磨き、フロスを使って歯垢を落としてから使用するほうが効果があります。バイオフィルムを形成されてから陽イオン界面活性剤を使っても、浸透力が少ないため、効果が小さくなってしまいます。BCTが含まれる商品 ・・・ クリニカアドバンテージ デンタルリンス、クリアクリーン デンタルリンス ソフトミント ノンアルコール等
歯科医院か薬局零売で購入できるBCT入のうがい薬 ・・・ ネオステリングリーン
上記の陽イオン界面活性剤に関しては、しっかり歯磨きとデンタルフロスで歯垢を落としてから使用する場合は一定の効果があります(CHXは国内濃度の場合不明ですが)。現状は2~3ヶ月に一度、歯科の定期検診を利用してクリーニングを行ってしっかり歯垢や歯石をとってもらうことが優先されます。自宅でマウスウォッシュを使用する場合は、デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯茎と歯の間をしっかり掃除してから使ってください。詳しいデンタルフロスの使い方は三重県歯科医師会のパンフレットが詳しいです。 → http://www.dental-mie.or.jp/hatokutinokenkou/pdf/25shikamburashidentarukurosu.pdfフッ化ナトリウム
フッ化ナトリウムは歯科の定期検診を受けるとほぼ必ず塗布されるものなので、ご存知の方も多いと思います。フッ化ナトリウムは細菌の活動を抑制し歯質の再石灰化を促進することができるため、虫歯予防に世界中で使われています。薬局やドラッグストアでもフッ化ナトリウム入のフッ化洗口液は購入できます。ただし、ドラッグストアで扱っているフッ化洗口液は第一類医薬品に属するため、薬剤師不在では購入することはできず、さらに、フッ素濃度は0.05%と半分のため、毎日使用する必要があります。医療用医薬品のフッ化洗口液は濃度が0.1%であり、週に2回ほど使用すればよいので、忙しい人でも使いやすいのが特徴です。歯科医師の処方せんか、薬剤師が薬局において対面で販売することができる「処方せん医薬品以外の医療用医薬品」に属しますので、薬局で購入するには、薬剤師が対面して服用方法の指導と販売をします。 なお、どちらの濃度を使用しても、特に効果に差はありませんので、入手のしやすさや継続性といった点を加味して、取り扱っているドラッグストアの薬剤師や当薬局の薬剤師と相談してください。ドラッグストアで購入できるフッ化洗口液 ・・・ クリニカ フッ素メディカルコート、エフコート(フッ素濃度0.5%)
歯科医院か薬局零売で購入できるフッ化洗口液 ・・・ フッ化洗口液0.1%「〇〇」※〇〇はそれぞれのメーカー名
熊本県歯科医師会「Q&A フッ化物洗口 要点」 → http://www.kuma8020.com/school/pdf/111031_03.pdf
三重県歯科医師会「フッ化物応用マニュアル」 → http://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000820650.pdf
平成10~12年度厚生労働省科学研究「フッ化物応用の総合的研究」 フッ化洗口液ガイドライン → https://www.niph.go.jp/soshiki/koku/oralhealth/ffrg/m/kenkai03.html
歯科衛生士が知っておきたい洗口剤の応用 → https://www.jstage.jst.go.jp/article/perio/58/2/58_86/_html/-char/ja
この記事を書いた薬剤師

薬局お茶の水ファーマシー
代表取締役・管理薬剤師
片山 陸(かたやま りく)
「セルフメディケーション.com」管理人
一言:一本インプラント済みなので、これ以上歯を失いたくないです。
東京理科大学薬学部薬学科卒
【薬局お茶の水ファーマシーについて】
薬局お茶の水ファーマシーは御茶ノ水・神保町・九段下周辺で夜間土日も営業している唯一の薬局です。処方箋による調剤のほか、風邪や胃腸炎といった症状に合わせて薬剤師がお薬をご提案できます。夜間土日も営業していることから、神保町界隈のビジネスマンによくご利用いただいております。お医者さんのところに行く時間がない、病院が開いていなかったといった方には特にご利用していただきたい薬局です。【通常営業時間】
・11時00分~20時00分(月、木、金、土、日)
・16時00分~20時00分(水曜日のみ) ※祝日、お盆休み、年末年始のお休みに関しては別途お知らせよりアナウンスいたします。
【アクセス】
・都営地下鉄・東京メトロ「神保町駅」A5出口より徒歩4分
・JR中央総武線各駅停車「御茶ノ水駅」御茶ノ水橋口より徒歩7分
とってもおいしいうどんのお店「丸香」さんの向かい、白いタイルのビル(水野ビル)の3階に薬局お茶の水ファーマシーがあります。【具体的な業務について】
薬局お茶の水ファーマシーはどの医療機関の処方箋も受け付けております。初めて来局される患者様は在庫をお調べいたしますので、03-5577-7646までお電話ください。薬剤師が在庫をお調べいたします。また、お医者さんのところに行く時間がない、休日でどこもやっていないという場合は当薬局の薬剤師が症状に合わせてお薬をご提案することができます。・咳、鼻水、鼻づまり、発熱、のどの痛みといった風邪症状の対応
・筋肉痛、肩こり、足のつり(こむら返り)といった症状の対応 ・花粉症の対応
・二日酔い、食欲不振、胃炎といった症状
・乾燥肌、皮膚のトラブル
・各種サプリメントや化粧品の相談
・オンラインお薬相談 → https://peing.net/ja/ochanomizu_ph
・医療機関と連携した受診勧奨
以上が薬局お茶の水ファーマシーが対応できる具体的な業務内容です。ちょっと調子が悪い時、お気軽に薬剤師までご相談ください。ご利用者の方の健康をサポートする、というのが薬剤師の仕事です。注意事項
薬局お茶の水ファーマシーで販売できるお薬は「一般用医薬品」のほか、厚生労働省が定める「処方せん医薬品以外の医療用医薬品」がございます。通常、医療用医薬品は処方箋がないとお薬が交付されませんが、「処方せん医薬品以外の医療用医薬品」のカテゴリは薬剤師が対面し、患者記録・販売記録を管理し、必要最低限の量に限り販売ができます。この販売形式を「零売」といいます。神保町は土日で医療機関が休診しており、ドラッグストアにも薬剤師がいないことがあるため、地域医療への取り組みとして、上記のお薬の販売をしております。お求めの方は、当薬局の薬剤師までご相談ください。初回ご利用の方は法令で定められた簡単なアンケートにご協力ください。

<この記事を書いた薬剤師です>処方せんが必要なお薬だけではなく、風邪や花粉症といった軽症で使用するお薬の相談・販売も承っております。その他にも、栄養剤、サプリメント、化粧品、洗剤など、ケミカルな相談もなんでも受け付けております。薬局のLINE公式アカウント、お電話、薬局窓口までお気軽にどうぞ。
執筆した「ビジネスパーソンのためのセルフメディケーション読本」が技術書典9エポックメイキング部門で優秀賞を受賞しました。 → https://techbookfest.org/product/6426464534659072

<Pharmacy Tips !>
#ハチミツも処方されることがある
ハチミツは実は医薬品として登録されています。咳止めとして処方されたり、お子様のシロップの矯味剤として使われています。去痰、抗炎症にも効果があるので、喉の調子が悪いときに、家のハチミツを使ってみましょう(一歳未満のお子様には使わないでください)。