「セルフメディケーション.com」に「水虫とセルフメディケーション」についてまとめました。
「セルフメディケーション.com」に「水虫とセルフメディケーション」についてまとめました。
水虫は梅雨の前から秋まで、話題に上がりやすい病気です。高温多湿な日本で、靴をずっと履いているビジネスマンの足は、水虫にとって格好の繁殖環境となってしまいます。水虫は「足白癬(あしはくせん」と呼ばれる感染症で、皮膚糸状菌という真菌(カビ)が原因です。水虫には3つの分類があり、足の裏に小さな水膨れが生じ、水膨れが破れると皮が剥ける小水疱型(汗疱型)と足の指の間の皮が剥けたり、白くふやけたりする趾間型、ヒビ、アカギレのように足の裏全体が硬くなる角質増殖型に分類されています。代表的な小水疱型や趾間型は症状に季節変動が見られ、高温多湿な時期は最盛期で、秋から冬にかけては症状が緩和してきます。あまりに放置してしまうと、爪の中に白癬が入ってしまい、治療期間が長期に及んでしまうこともあります。今回は足の水虫に使う抗真菌薬の塗り薬(1日1回タイプ)について、化学的な違いを交えて紹介します。
最初に、水虫に使う抗真菌薬は大きく分けて3種類(+2薬品)という感じに分類できます。イミダゾール系と○○アミン系とモルフォリン系です。水虫治療には、イミダゾール系のルリコン、アリルアミン系のラミシール、モルフォリン系のペキロンが使われることが多いです。病院、薬局、ドラッグストアでもらった水虫の塗り薬の効果が薄い場合は、他の系統の薬を使うとうまく効くことがあります。ただし、水虫の治療は長期戦で、塗る範囲も局所的ではなく、足全体に塗り拡げる使い方をします。マルホさんのHPに足の水虫の塗り方がわかりやすく書いてあるPDFがありますので、塗り方の詳細はリンク先を参照してください。
※参考 株式会社マルホ「抗真菌薬(アスタットクリーム)の塗り方」 → https://www.maruho.co.jp/medical/toolorder/file/tool/5088407002.pdf
前もらった水虫だと時間がとてもかかってしまった、といった場合に他の系統を検討しても良いと思います。なお、一般的に水虫に使われる塗り薬の中で、クレナフィンのみが、処方せんがないと提供できない塗り薬です。
ルリコン(ルリコナゾール)
【構造式分類】イミダゾール系
【医薬品分類】処方せん以外の医療用医薬品(処方せんか、薬局の零売で購入可能)
【代替医薬品】ラミシール(ドラッグストアで入手可)、ペキロン(ダマリンエースという名前でドラッグストアで入手可)
【コメント】アスタットの改良版です。よく見ると構造式がほとんど同じで、Clを加えることで、光学活性体(R体)のみを合成できるようになっています。他の水虫薬より治療成績が良いです。もともとは殺虫剤や農薬の研究から派生して、アスタットとルリコンが創薬されました。
アトラント(ネチコナゾール)
【構造式分類】イミダゾール系
【医薬品分類】処方せん以外の医療用医薬品(処方せんか、薬局の零売で購入可能)
【代替医薬品】ドラッグストア → ラミシール(ドラッグストアで入手可)、ペキロン(ダマリンエースという名前でドラッグストアで入手可)
【コメント】以前アトラントエースという名前で一般に販売されていました。販売停止の理由はよくわかりません。
アスタット(ラノコナゾール)
【構造式分類】イミダゾール系
【医薬品分類】一般用医薬品(ピロエースZという名前でドラッグストアで入手可)
【代替医薬品】ラミシール(ドラッグストアで入手可)、ペキロン(ダマリンエースという名前でドラッグストアで入手可)
【コメント】ルリコンと同じく、農薬の研究から派生して創薬されました。
ニゾラール(ケトコナゾール)
【構造式分類】イミダゾール系
【医薬品分類】処方せん以外の医療用医薬品(処方せんか、薬局の零売で購入可能)
【代替医薬品】ラミシール(ドラッグストアで入手可)、ペキロン(ダマリンエースという名前でドラッグストアで入手可)
【コメント】白癬の治療というより、脂漏性皮膚炎の治療に使われています。シャンプーに混ぜて使うと濃度的に効かないので、脂漏性皮膚炎(フケ)で使う場合はローションを1日2回使うことを推奨します。
マイコスポール(ビホナゾール)
【構造式分類】イミダゾール系
【医薬品分類】一般用医薬品(ビホナエースの名前でドラッグストアで購入可能)
【代替医薬品】ラミシール(ドラッグストアで入手可)、ペキロン(ダマリンエースという名前でドラッグストアで入手可)
【コメント】一番最初に開発された1日1回タイプの抗真菌薬です。
ラミシール(テルビナフィン)
【構造式分類】アリルアミン系
【医薬品分類】一般用医薬品(ラミシールの名前でドラッグストアで購入可能)
【代替医薬品】ルリコン、ペキロン、アトラント、アスタット
【コメント】ドラッグストアで容易に入手できます。
ボレー(ブテナフィン)
【構造式分類】ベンジルアミン系
【医薬品分類】一般用医薬品(ブテナロックの名前でドラッグストアで購入可能)
【代替医薬品】ルリコン、ペキロン、アトラント、アスタット
【コメント】ドラッグストアで容易に入手できます。ラミシールとボレーは同系統なので、どちらかがどうも効かない場合は別系統に切り替えたほうがいいです。カンジダに適応がないことに注意です。
ペキロン(アモロルフィン)
【構造式分類】モルフォリン系
【医薬品分類】一般用医薬品(ダマリンエースという名前でドラッグストアで入手可)
【代替医薬品】ルリコン、アトラント、アスタット、ラミシール、ボレー
【コメント】ドラッグストアで入手できます。モルフォリン系の抗真菌薬はペキロンしかないです。
ゼフナート(リラナフタート)
【構造式分類】チオカルバミン酸系
【医薬品分類】処方せん以外の医療用医薬品(処方せんか、薬局の零売で購入可能)
【代替医薬品】ルリコン、アトラント、アスタット、ラミシール、ボレー、ペキロン 【コメント】処方せんか零売でしか手に入らないですが、カンジダと癜風に適応がなく、治療成績も代替品に比べて特段優れているわけではないので、優先して検討するものではないです。
この記事を書いた薬剤師
薬局お茶の水ファーマシー
代表取締役・管理薬剤師
片山 陸(かたやま りく)
「セルフメディケーション.com」管理人
一言:風邪や胃腸炎、花粉症といった急性疾患は薬局でもケアできることを広めたい薬剤師です。
東京理科大学薬学部薬学科卒
【薬局お茶の水ファーマシーについて】
薬局お茶の水ファーマシーは御茶ノ水・神保町・九段下周辺で夜間土日も営業している唯一の薬局です。処方箋による調剤のほか、風邪や胃腸炎といった症状に合わせて薬剤師がお薬をご提案できます。夜間土日も営業していることから、神保町界隈のビジネスマンによくご利用いただいております。お医者さんのところに行く時間がない、病院が開いていなかったといった方には特にご利用していただきたい薬局です。 処方せんを予め薬局まで画像で送っていただけますと、対応がとてもスムーズです。当薬局で採用している「空飛ぶ処方せん」というアプリをダウンロードすれば、1分程度で処方せんデータを送信することができます。→ 【動画付き】薬局に事前に処方せんを送るアプリ「空飛ぶ処方せん」の使い方
【通常営業時間】
・11時00分~20時00分(月、木、金、土、日)
・16時00分~20時00分(水曜日のみ) ※祝日、お盆休み、年末年始のお休みに関しては別途お知らせよりアナウンスいたします。
【アクセス】 → 交通案内
・都営地下鉄・東京メトロ「神保町駅」A5出口より徒歩4分
・JR中央総武線各駅停車「御茶ノ水駅」御茶ノ水橋口より徒歩7分
とってもおいしいうどんのお店「丸香」さんの向かい、白いタイルのビル(水野ビル)の3階に薬局お茶の水ファーマシーがあります。
【具体的な業務について】
薬局お茶の水ファーマシーはどの医療機関の処方箋も受け付けております。初めて来局される患者様は在庫をお調べいたしますので、03-5577-7646までお電話ください。薬剤師が在庫をお調べいたします。また、お医者さんのところに行く時間がない、休日でどこもやっていないという場合は当薬局の薬剤師が症状に合わせてお薬をご提案することができます。
・咳、鼻水、鼻づまり、発熱、のどの痛みといった風邪症状の対応
・筋肉痛、肩こり、足のつり(こむら返り)といった症状の対応 ・花粉症の対応
・二日酔い、食欲不振、胃炎といった症状
・乾燥肌、皮膚のトラブル
・各種サプリメントや化粧品の相談
・オンラインお薬相談 → https://peing.net/ja/ochanomizu_ph
・医療機関と連携した受診勧奨
以上が薬局お茶の水ファーマシーが対応できる具体的な業務内容です。ちょっと調子が悪い時、お気軽に薬剤師までご相談ください。ご利用者の方の健康をサポートする、というのが薬剤師の仕事です。
注意事項
薬局お茶の水ファーマシーで販売できるお薬は「一般用医薬品」のほか、厚生労働省が定める「処方せん医薬品以外の医療用医薬品」がございます。通常、医療用医薬品は処方箋がないとお薬が交付されませんが、「処方せん医薬品以外の医療用医薬品」のカテゴリは薬剤師が対面し、患者記録・販売記録を管理し、必要最低限の量に限り販売ができます。この販売形式を「零売」といいます。神保町は土日で医療機関が休診しており、ドラッグストアにも薬剤師がいないことがあるため、地域医療への取り組みとして、上記のお薬の販売をしております。お求めの方は、当薬局の薬剤師までご相談ください。初回ご利用の方は法令で定められた簡単なアンケートにご協力ください。

<この記事を書いた薬剤師です>処方せんが必要なお薬だけではなく、風邪や花粉症といった軽症で使用するお薬の相談・販売も承っております。その他にも、栄養剤、サプリメント、化粧品、洗剤など、ケミカルな相談もなんでも受け付けております。薬局のLINE公式アカウント、お電話、薬局窓口までお気軽にどうぞ。
執筆した「ビジネスパーソンのためのセルフメディケーション読本」が技術書典9エポックメイキング部門で優秀賞を受賞しました。 → https://techbookfest.org/product/6426464534659072
