禁煙週間特集③「禁煙に使われるお薬」


本日は禁煙週間3日目です。今回は「禁煙に使われるお薬」についてお話したいと思います。

まず、薬局で手に入るお薬で代表的なものはニコチンパッチですね。ドラッグストアでは大抵売っていますし、処方せんによって入手することもできます。ニコチンが入った貼り薬を一日中貼って、皮膚からニコチンを持続的に注入することで、ニコチンの禁断症状を緩和することができます。最初は濃度が濃く、徐々に薄くしていく点は、後述するチャンピックスとは異なる点です。代表的な製品名は「ニコチネルパッチ」でしょう。グラクソ・スミスクライン社が第1類医薬品として販売しています。薬剤師が対面で販売しないといけないため、いざ禁煙しに買いに行こうしても、薬剤師がいないと買うことができないです。「ニコチネルガム」は第2類医薬品なので、登録販売者から購入することが出来ます。各種禁煙補助剤の成功率を分析した論文によると、ガム < パッチ < チャンピックス となっています。※循環器学会・禁煙推進委員会HPより

ガムに関しては、普通のチューイングガムと同じように噛む人が多いですが、かえってニコチンが早く放出されてしまい、ニコチン血中濃度が早く上がってしまう(=タバコと同じようになってしまう)ため、ゆっくり噛んで、30~60分口の中に入れっぱなしにする必要があります。ニコチネルパッチによる皮膚刺激や頭痛、吐き気といった副作用がひどい場合はニコチンが入ったガムを使うことが検討されますが、その場合はチャンピックスを使っていいのではないかと考えています。

日本では、35歳未満の方はニコチン依存症であることが診察で判明した場合、禁煙の意思が固ければすぐにチャンピックスを使うことができます。2016年4月にこのように改正され、禁煙外来に受診しやすい環境となりました。以前は、ブリクマン指数(1日喫煙本数×喫煙年数)が200を超えなければチャンピックスを処方することができませんでした。ちなみに、35歳以上の方は1日6本以上吸っている場合、ブリクマン指数が200を超えます。→ 若年者の禁煙治療指針

チャンピックス(一般名「バレニクリン」)は喫煙者の方なら一度は聞いたことがあると思います。飲むタイプの禁煙補助剤です。ニコチン α4β2 受容体部分作動薬ですが、簡単に言うと、ニコチンがまさにくっつく場所を占領して、ニコチンを摂取してもスイッチが入らない状態にしてくれます。また、チャンピックス自体、ニコチンよりも少ないですが、スイッチを少しだけ押してドーパミンを出すため、離脱症状を緩和することができます。なので、チャンピックスを服用中にタバコを吸ってしまっても、ニコチンがスイッチを押せない状態になっているので、少なくとも肉体的にはたばこを吸う意味がなくなってしまいます。良い点だけではなく、悪い点もあります。代表的な副作用として、吐き気と異常な夢、うつ症状が見られることがあります。特に、吐き気と異常な夢は頻度が多く、吐き気の緩和として制吐剤が処方されることがあります。異常な夢については、チャンピックス服用中は常にドーパミンが少量分泌される状態となっているため、睡眠中の夢に影響するドーパミンが出ていることで、普段と違った夢を見る方がいらっしゃいます。あまりに耐え難いという場合は1日量を減量して効果を検証した論文もあります(この論文は女性を対象としています)。減量しても、標準療法と有意差がなく、治療効果があると言及しています。 → http://www.jstc.or.jp/uploads/uploads/files/gakkaisi_161226_166.pdf

チャンピックスについての使用感を患者さんとお話すると多いのは、吐き気ですが、制吐剤を使ったり、食後に飲むように徹底することで、吐き気だけでお薬を中断するケースはありませんでした。また、異常な夢に関しても、そこまで気にされている方が少ない印象を持っています。ただ、気分の落ち込みが禁煙治療してから多く、仕事なのか薬のせいなのかよくわからなくて困っているというお話は何件かありました。特段大きな変化がない場合は、やはりチャンピックスの副作用である抑うつかもしれないことをお話すると、仕事のせいじゃなくてよかったと安心されたこともあります。繁忙期や商戦時期に使うより、閑散期に使ったほうがいいのかもしれません。

余談ですが、筆者は全部試しました。チャンピックスでようやく無事禁煙成功です。禁煙治療体験はまた後日お話できればと思います。


<Pharmacy Tips !>
#乳製品とお薬の関係
乳製品はカルシウム、マグネシウムが含まれており、一部のお薬は効果が弱くなることがあります。2時間あけるか、服用タイミングを医師、薬剤師に相談してください。