4月~9月は「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」期間です。
厚生労働省によると、職場における熱中症予防対策の一層の推進を図るため、労働災害防止団体などと連携し、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」が展開されています。このキャンペーンは、平成31年4月を準備期間とし、5月から9月まで行っています(すでに始まっていますね)。
キャンペーンページは、真っ先に職場における熱中症による死傷者数の推移が掲載されています。上記のグラフによると、死傷者数の推移が甲斐なく上がってしまっている感じを受けます。暑さ指数((湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)の計測によって、どれくらい現場が熱中症になりやすいかを判断できます。今回は暑さ指標についてお話致します。
暑さ指数は、気温と湿度と輻射熱(熱を蓄えている者から出る熱)、そして気流(風)を計測して測定します。気流を考慮しない場合、3つの温度計を使って計算することができます。 →出典:環境省 暑さ指数(WBGT)の詳しい説明 http://www.wbgt.env.go.jp/doc_observation.php
●黒球温度(GT:Globe Temperature)は、黒色に塗装された薄い銅板の球(中は空洞、直径約15cm)の中心に温度計を入れて観測します。黒球の表面はほとんど反射しない塗料が塗られています。この黒球温度は、直射日光にさらされた状態での球の中の平衡温度を観測しており、弱風時に日なたにおける体感温度と良い相関があります。
●湿球温度(NWB:Natural Wet Bulb temperature)は、水で湿らせたガーゼを温度計の球部に巻いて観測します。温度計の表面にある水分が蒸発した時の冷却熱と平衡した時の温度で、空気が乾いたときほど、気温(乾球温度)との差が大きくなり、皮膚の汗が蒸発する時に感じる涼しさ度合いを表すものです。
●乾球温度(NDB:Natural Dry Bulb temperature)は、通常の温度計を用いて、そのまま気温を観測します。
暑さ指数(WBGT)の算出式
屋外での算出式
WBGT(℃) =0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度屋内での算出式
WBGT(℃) =0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度
※単位は摂氏度(℃)になります
3つの温度計の数値を組み合わせて計算するのですが、たいてい熱中症になりそうな箇所の測定になるので、現場では熱中症にならないために計測するのに熱中症になってしまうこともあるため、測定にはしっかり熱中症対策をしましょう。この記事を書いている最中に判明したのですが、タニタさんではポーダブルに暑さ指標を測定できるキットが7,000円くらいで販売されていました。ちなみに、薬局長が薬学生だったころ、じめじめした教室の暑さ指数を3つの温度計を使って、汗を書きながら測定していたのですが、業務用には優れた計測器があるなんて、授業では一言も教授はお話されていなかった気がします。
算出式を見ると何となく分かるのですが、暑さ指数は湿度が大きな割合(7割)を占めています。熱中症対策には、まず湿度対策が有効です。通気性の良い服を優先的に着用して、身体をドライな環境にしておくと良いでしょう。また、感覚的に知られていますが、送風も有効な手段です。気流を感じると暑さ指数がそれだけで1℃下がります。
暑さ指数が簡単に何となく分かるサイトを環境省が用意しています。 → http://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php
東京の暑さ指数はこちら → http://www.wbgt.env.go.jp/graph_ref_td.php?region=03&prefecture=44&point=44132
本日6月13日の東京の暑さ指数は16時現在で23.8 ℃となっております。下記の指標からするとまだ大丈夫ですね。
(28~31℃)及び(25~28℃)については、それぞれ28℃以上31℃未満、25℃以上28℃未満を示します。 日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針Ver.3」(2013)より一部変更(大塚製薬HPより引用)
暑さ指標自体は、アメリカ・サウスカロライナ州パリスアイランドの海兵隊新兵訓練所で、熱中症のリスクを事前に判断するために開発されました。パリスアイランドは湿度が高い上に、海兵隊の訓練は厳しく、訓練中は服装や装備にも厳しい制約があったために、熱中症になりやすかったことが暑さ指数(WBGT)の提案につながったようです。
薬局お茶の水ファーマシーは熱中症予防や夏バテ対策のご相談も承っております。まずは通気性の良い服、水分補給を念頭に、それでもちょっと辛い、、、という場合は経口補水液、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、清暑益気湯(せいしょえっきとう)を試してみるのも良いでしょう。薬局でお試しできますので、涼みに来るついでに薬剤師にお声がけください。

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