市販薬の名前と成分名の関係 ①小林製薬編

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小気味良いネーミングで訴えかける小林製薬さんのテレビCMを見たことがある人は沢山いらっしゃるかと思います。わかりやすく、つい勢いで買ってしまいそうな感じもしますが、医薬品である以上、製品名ではなく、中に何が入っているのかをわかった上で買うことが大切です。パッケージにはこんな症状に使いますと書かれているものの、自己判断で使うにしても、その成分が症状を緩和できるか、量は適正かどうか、分かりづらいこともあるかと思います。

今回は、市販薬の名前と成分名を解説する第一弾として、小林製薬さんの製品を見ていきたいと思います。※小林製薬さんと利益相反はないです。

(1)アルピタン → 五苓散

二日酔いに効くとされている漢方薬、五苓散(ごれいさん)がアルピタンに含まれています。6包で1000円のため、ヘパリーゼのようなドリンクよりは安いです。飲む前と寝る前に服用したほうがよいので、そうするとヘパリーゼより割高になってしまいます。顔が赤くなりやすいタイプの方は黄連解毒湯(おうれんげどくとう)と五苓散がミックスされた「大正漢方胃腸薬(内服タイプ)」が便利です。一本480円ほどするので、黄連解毒湯と五苓散を買っておいたほうがお財布に優しいです。常備薬として優秀で、五苓散があると胃腸炎のときにも有効なので、一家に一箱常備してほしいところです。アルピタンは医療用医薬品の五苓散とほぼ同じような量なので、使用感としては変わらず使えると考えられます。

過去記事 → 二日酔いになりやすい方へ

(2)ガスピタン →乳酸菌3種類+ジメチルポリシロキサン

お腹の張りに効くガスピタンは、主成分としてはジメチルポリシロキサンが消泡剤として機能します。乳酸菌はオマケです。18錠(6日分)で1000円です。お通じが悪いことでガスが溜まりやすいことが多いため、繊維質の多いイモ類、豆類を控えて様子を見てみましょう。便秘に使う整腸剤にジメチルポリシロキサンが配合されていることもあります。別名ジメチコンと呼ばれ、医師や薬剤師だとこちらがピンと来るかもしれません。特に害はないですが、化粧品の消泡剤、使用感の改善としても使われています。

(3)漢方ズッキノン → 釣藤散

肩こりから来る頭痛に処方されることがある釣藤散(ちょうとうさん)が入っています。偏頭痛でお悩みの方は呉茱萸湯(ごしゅゆとう)をおすすめします。ちなみに月に10回以上偏頭痛でお薬を使っている方は頭痛外来を紹介することがあります。釣藤散自体は肩こりかつ頭痛(=筋緊張性頭痛)のときは症状改善に有効です(漢方医学 25(6):279-283,2002)。ズッキノンは半量しか入っていないので、ズッキノンが有効でなかったからと言って釣藤散自体が有効ではないと繋げないようにしましょう。ズッキノンだけではなく、市販の漢方薬に言えることですが、成分量が1/2になっていたりするので、薬剤師に症状をお話して、症状緩和に使われる成分量の提案を受けるとよいでしょう。

(4)漢方ナイトミン → 酸棗仁湯

心身が疲れていて眠れない方に処方されることがある酸棗仁湯(さんそうにんとう)が入っています。睡眠障害には抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)もおすすめできます。ナイトミンは医療用医薬品の酸棗仁湯と比べると25%ほど量が少なくなっているのでよりマイルドではあります。ただ、あくまでも対症療法でしかないため、根本から改善を求める場合、睡眠障害の改善は運動、食事、睡眠、仕事、家庭の環境と習慣の見直しから始めたほうがよいです。話は逸れますが、市販薬の睡眠導入剤を使う際は必ず薬剤師に飲み合わせを確認してもらったほうがいいです。抗ヒスタミン剤の副作用を利用した睡眠導入剤(ジフェンヒドラミン)に関しては、今までの病歴や現在治療で使っている薬と相性が悪いこともあります。睡眠導入に関しては、自己判断で安易にお薬でフォローすることはおすすめしていません。かかりつけの医師、薬剤師にしっかり話した上でお薬を選ぶようにしましょう。

(5)ギャクリア → 六君子湯

胃炎、むかつき、胃の調子が悪いときによく処方される六君子湯(りっくんしとう)が入っています。が、半分の量です。胃の調子が悪いときは素直にガスター10(ファモチジン)か、医師の診察を受けて、胃薬を処方されたほうがいいでしょう。ギャクリアに入っている六君子湯は5日分ですが、六君子湯としては短期間なので、ギャクリアを購入する前に、即効性のあるガスター10の購入相談を薬剤師としたほうがいいです。ギャクリアは一箱1600円と高めですが、もともと六君子湯自体が高いです。

(6)コムレケア → 芍薬甘草湯

足のつり、こむら返りに頻用される芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)が入っています。医療用医薬品と同量です。即効性が期待できるため、足が攣りがちな人は一箱常備していてもよいでしょう。こむら返り自体は、運動不足やミネラルの不足、加齢によって増えてきます。運動不足の中、急に運動した場合はよくストレッチをして、こむら返りを予防しましょう。また、スポーツドリンクなどでミネラルを補給するようにしましょう。コムレケアは6回分で1000円のため少々割高かもしれません。頻繁に使うようであれば、カンゾウが多く含まれていることから、むくみやすくなったりしますので、むくみが気になってきたら、かかりつけの医師か薬剤師に相談してください。

(7)シジラック → 独活葛根湯

四十肩、五十肩に効果があるとされる独活葛根湯(どくかつかっこんとう)が入っています。医療用医薬品に存在しないため、知らない人が多いと思いますが、慢性的な肩こりに昔から使われています。五十肩だと医療用医薬品に二朮湯(にじゅつとう)があるので、そちらを使われている方もいらっしゃいます。ちなみに独活葛根湯は独活(ウドの根茎)と地黄がふくまれています。胃腸が弱い人は控えたほうが良いかと思われます。炎症が起こって肩が動かしにくくなるので、消炎鎮痛剤の入った湿布を使って様子をみて、それでも気になるようだったらシジラックを使うことも検討できます。

(8)ダスモック → 清肺湯

たんが絡んで切れにくい場合に処方されることがある清肺湯(せいはいとう)が入っています。医療用の清肺湯の半分くらいの量です。咳と痰が続く方に処方されますが、慢性的にたん絡みの咳で困っている方が対象です。タバコを吸っていることでCOPD(慢性閉塞性肺疾患)になってしまって、たん絡みの咳が出ているようであれば、禁煙が一番です。かかりつけの医師、薬剤師と相談したほうが早いです。清肺湯自体がタバコを吸っているによるたん絡みを抑える役割を持っているわけではないです。原因物質を吸引しながら症状緩和のお薬を服用しているというかなり矛盾した状況になってしまうので、ダスモックを手に取る前に一度喫煙習慣の見直しを始めましょう。

(9)チクナイン → 辛夷清肺湯

慢性副鼻腔炎に使われることがある辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)が入っています。辛夷清肺湯は他によく使われる葛根湯加川きゅう辛夷を試してから使ってもよいのではないかと思われます。また、膿性の痰に有効とされますが、あおっぱながジュルジュルに出ている場合は耳鼻科に行ったほうが治りが早いので、チクナインを取るなら耳鼻科に行きましょう。慢性副鼻腔炎が悪化して鼻茸(ポリープ)ができてしまうこともあります。長引くと2~3ヶ月かかってします。アレルギー性鼻炎で鼻詰まりになりやすい人は副鼻腔炎になりやすいので、抗ヒスタミン剤でアレルギー性鼻炎のコントロールをしましょう。また、鼻をすするのではなく、しっかり鼻をかんで、常に空気が流れるように努めることで菌が繁殖しづらい環境になります。

(10)ボーコレン → 五淋散

排尿痛や残尿感がある方に処方される五淋散(ごりんさん)が入っています。医療用医薬品の半分くらいの量です。残尿、排尿トラブルに関しては泌尿器科に行ったほうが早いです。場合によっては抗菌薬が必要になるケースもあります。繰り返す場合に関しても、医師の診察を通して原因を鑑別してもらったほうがいいです。

今回は小林製薬さんのラインナップの一部をお話いたしました。市販薬を手に取る際、ぜひ薬剤師や登録販売者の方と相談しながら購入を検討するようにしてください。特に、症状緩和に本来有効とされる濃度まで達していないのに使うことの有効性や、飲み合わせの確認、病歴や副作用歴など、症状改善だけではなく、副作用から自分を守るために、ネーミングにとらわれずに入っている成分を専門家のサポートを受けながら利用するようにしましょう。

 

 


<Pharmacy Tips !>
#腎臓の点数「eGFR」
血液検査の結果に記載されているeGFRは腎臓の元気度を点数化したものです。50以下になると、腎臓がお薬を出すスピードが遅くなってくるので、飲んでいるお薬の量を調節することがあります。普段から減塩を意識して、腎臓も労ってあげましょう。