PMDAよりラニチジン塩酸塩における発がん物質の検出に対する対応が発表されています。

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2019年9月18日、PMDAよりラニチジン塩酸塩における発がん物質の検出に対する対応が発表されています。→ https://www.pmda.go.jp/files/000231528.pdf

~~2019年9月27日追記~~

PMDAよりザンタック(ラニチジン)が自主回収になったことが発表されました。 → http://www.info.pmda.go.jp/rgo/MainServlet?recallno=2-9071

製造販売業者のグラクソ・スミスクライン社は重大な健康被害が出る恐れがないとしています。下記に書いているように、すでに処方されたザンタック及びラニチジン(製造過程上でNDMAが基準内で発生してしまうため、まとめています)に関しては、処方日数分服用しても許容範囲です。それでも気になる場合はお時間のあるときにかかりつけの医師、薬剤師と相談しましょう。また、類縁物質のニザチジン(アシノン)はとくに出荷制限や自主回収が行われているわけではないので、服用していただいて全く問題ございません。

~~追記ここまで~~

~~2019年10月2日追記~~

PMDAよりラニチジン錠75mg「日医工」(150mgも)が自主回収(クラスⅡ)になったことが発表されました。 → http://www.info.pmda.go.jp/rgo/MainServlet?recallno=2-9091

後発医薬品では日医工が一番に自主回収を発表しました。ラニチジンの原薬製造段階でのNDMAの混入が否定できないためとしています。流通しているものに関しては、NMDAは検出されておらず、あくまで予防的回収としています。他の後発医薬品メーカーも続いて自主回収が発表されるかもしれませんが、下記にお話させていただいているとおり、処方日数分では影響は無視できるレベルなので、次回処方時に代替方法をかかりつけの医師、薬剤師と相談してください。

~~追記ここまで~~

~~2019年10月4日追記~~

武田テバファーマ、マイラン製薬、小林化工、沢井製薬、東和薬品、鶴原製薬、ニプロも続いて自主回収(クラスⅠ)を発表しました。クラスⅠの自主回収だと、すでにお渡し済みのラニチジンも回収することになっており、当該メーカーのラニチジンをご使用されている方には、薬局から回収のご連絡があるかもしれません。薬局お茶の水ファーマシーだとラニチジン錠75mg「トーワ」を在庫しておりましたが、自主回収の対象ロットのため、すべて返却しました。日医工さんはクラスⅡで、今回のメーカー郡はクラスⅠと、メーカーの対応に違いが生じています。処方医や調剤した薬剤師が中止を指示しないのであれば、治療で使っているお薬は使用しましょう。気になるようでしたら、お時間に余裕があるときにかかりつけの医師、薬剤師まで相談してください。

降圧剤のバルサルタンも一度NDMAの水準が超えたため、自主回収になった経緯がありますが、その後の対応や海外の対応については厚生労働省でリスク評価の報告書が公開されています。 → https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000360269.pdf

ご参考までに、一度調剤されたお薬が回収になった場合、薬局が回収することになりますが、回収分の返金はされません(健康保険法上の療養の給付扱いのため)。ヨミドクターの記事にて、薬剤師の児島悠司先生が解説しています。 → https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180524-OYTET50021/#a1

~~追記ここまで~~

ラニチジンは先発医薬品名ザンタックで、胃酸分泌を抑えるH2RAに分類されるお薬です。同効薬にファモチジン(ガスター)、ラフチジン(プロテカジン)、シメチジン(タガメット)、ニザチジン(アシノン)があります。その中でも、ラニチジンとその類縁物質であるニザチジンは新たな出荷を控えるように厚生労働省から製薬企業に指示されています。今回問題となっている発がん性物質のNDMAは、血圧のバルサルタンの原薬に混入が発覚したことで自主回収になったことは記憶に新しいです。産業用あるいは市販品としてはすでに利用されていませんが、各種化学反応の副生成物として生成することが知られており、各種産業および公共の廃水処理施設からは副生成物や汚染物質として環境へ放出されている可能性があるとされています。バルサルタンの場合、中国の原薬メーカーにおいて、バルサルタン合成過程の副生成物としてNDMAが発生、その許容量を上回ったため、自主回収になった経緯があります。

ラニチジンとニザチジンも合成過程において、副生成物としてのNDMA(数ppm)混入が欧米、欧州で指摘され、各国の当局で現在調査が行われている最中です。2019年9月19日時点では、自主回収、服用禁止の旨は出ていないですが、発表された場合、速やかに当薬局のHPでもご連絡致します。

当薬局では取扱がなく、処方せんに記載されていた場合は、上記の事情を患者さんと処方医に説明した上で、腎機能、その他患者背景をもとに処方提案をさせていただきます。すでに服用されている場合は、処方された日数ではがんを発症するリスクはかなり低いです。緊急ではないので、時間の都合がつくときに、かかりつけの医師、薬剤師と相談してみましょう。

参考までに、欧州医薬品庁(EMA)では、暫定的な評価として、NDMA を 60ppm 含有する原薬を用いて製造されたバルサルタン製剤を 1 日 320mg、7年間服用し続けた場合に、5000 人に1人が生涯その暴露により過剰にがんを発症する程度のリスクと推定しております。今回のケースだと、欧州、欧米、オーストラリアでは服用を直ちに中止すべきものではないので、個々の症状に合わせて相談してください、と留めており、調査段階であることを発表しています。

なお、EMAでは、医薬品中のNDMAを回避するガイドラインを検討しています。 → https://www.ema.europa.eu/en/news/ema-provide-guidance-avoiding-nitrosamines-human-medicines

詳しい調査結果が発表されたら、また追って記事を更新します。


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