薬剤耐性(AMR)対策推進月間特集② ウイルスと細菌の違いと抗菌薬の狙い

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AMRリファレンスセンターによると、抗菌薬がどのような 病気に有効かどうかを一般の方にアンケートした結果、インフルエンザに有効だとする回答が50%もありました。抗菌薬のイメージはたしかに、風邪やインフルエンザといった辛いときに処方されるイメージが強いので、「抗ウイルス剤がどのような病気に有効か」とアンケートすると、風邪に有効と回答する方は減りそうな気がします。一般に、軽度の風邪だとたいていウイルス性で、抗菌薬は必要ありません。副鼻腔炎が長続きして、細菌性副鼻腔炎と診断された場合や、喉の痛みと高熱で悩まされる溶連菌、咳がずっと続く百日咳といった「細菌」性の病気も風邪のようなグループにイメージとして入っているのかもしれません。

もちろん、ウイルスによって消耗して、細菌に感染してしまう「二次感染」のリスクもあるので、ハイリスク群(小児、高齢者、重度の疾患を持っている方)はウイルス性の風邪であっても、抗菌薬の処方が検討されることがあります。

ウイルスと細菌の違いもかなり違います。初期症状は似ているところはありますので、症状から同じように取り扱われていますが、ウイルスは我々人間のような体の構造をしていません。殻の中にDNA(もしくはRNA)が入っていて、我々の細胞の中に入り込んで、勝手に細胞の中の道具を使って増殖します。細胞はウイルスを退治しようと、様々な対応(発熱、発汗、炎症、鼻水、くしゃみなど)をとりますが、この対応が細菌感染と似ているのです。一方で、細菌は我々の細胞と同じように、細胞膜やミトコンドリア、角膜、リボソームといった基本的な構造は似ています。細胞壁といって、細菌の骨格になっているものも細菌によってはもっています。骨格を破綻させたり、細胞の中の生命活動を阻害するのが抗菌薬です。抗菌薬は人間にはないけども、細菌にはある構造(細胞壁やリポソーム)をターゲットとしており、ウイルスは細菌と違って、細胞壁やリボソームをもっていないので、抗菌薬を飲んでも的外れなのです。

抗菌薬の開発の歴史は、細菌との戦いでもあるので、いずれしっかりと開発の歴史もここでお話できればと思います。


<Pharmacy Tips !>
#腎臓の点数「eGFR」
血液検査の結果に記載されているeGFRは腎臓の元気度を点数化したものです。50以下になると、腎臓がお薬を出すスピードが遅くなってくるので、飲んでいるお薬の量を調節することがあります。普段から減塩を意識して、腎臓も労ってあげましょう。