高脂血症治療剤「ゼチーア錠」のオーソライズド・ジェネリックが、2020年6月に発売予定されています。

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高脂血症治療剤「ゼチーア錠」のオーソライズド・ジェネリックが、2020年6月に発売予定されています。

前回の記事はこちらから → 脂質異常症治療薬「ゼチーア錠」の後発品の申請が承認されたそうです。

オーソライズド・ジェネリック(AG)は「許諾を受けたジェネリック医薬品」という意味です。新薬(先発医薬品)メーカーからレシピを得て製造した、原薬、添加物および製法等が新薬と同一のジェネリック医薬品や、特許使用の許可を得て、優先的に先行して販売できるジェネリック医薬品です。英語で「Authorized Generic」と書きます、略して「AG(エージー)」と呼ばれています。

ジェネリック医薬品は複数のメーカーが同一成分を作っていますが、同一原薬、添加物、製法で作られているわけではないので、厳密には同じ医薬品ではありませんが、オーソライズド・ジェネリックの場合はほぼ同一とみなしてよいです。というのも、オーソライズド・ジェネリックと先発品は法律で定められている医薬品の説明書(添付文書)と同じデータを使っていることがほとんどだからです。通常、ジェネリック医薬品は新しく他のメーカーが開発する時、国が定める溶出率と生物学的同等性試験をクリアしていますが、そのときに使用したデータと、先発品がもつデータは同様のものではないです。もちろん、全く同一がベストというわけではなく、製剤加工によって、他のメーカーが作った後発品のほうが患者さんにとって服用しやすく、治療継続しやすいというパターンもあります(例えば、クラリスロマイシンDS「タカタ」はこどもに飲みやすいように製剤加工されています)。オーソライズド・ジェネリックも、通常の後発医薬品も、先発品も同じ成分で、溶出率も生物学的同等性も国が保証しているため、医療費削減の観点からはオーソライズド・ジェネリックや後発品を推奨されているのは、周知の事実でしょう。

今回は、本当にオーソライズド・ジェネリックと先発品は同じデータで、他のメーカーは違うデータを使っているのかどうかをご紹介したいと思います。

例えば、コレステロールを下げるお薬として有名なクレストール(一般名ロスバスタチン)はオーソライズド・ジェネリックが存在します。第一三共エスファからロスバスタチン錠「DSEP」として販売されており、他にも多くの後発品メーカーがロスバスタチンを製造しています。

ロスバスタチン錠「DSEP」のインタビューフォーム(詳細なデータが記載されている公開データ)を見てみると、

ロスバスタチン錠 2.5mg「DSEP」、ロスバスタチン錠 5mg「DSEP」、ロスバスタチン OD 錠 2.5mg「DSEP」及びロスバスタチン OD 錠 5mg「DSEP」は、「発売 塩野義製薬株式会社、製造販売元 アストラゼネカ株式会社」とする、クレストール®錠 2.5mg、クレストール®錠 5mg、クレストール®OD 錠 2.5mg 及びクレストール®OD錠 5mg と原薬、添加物及び製造方法・製造場所が、それぞれ同一のオーソライズド・ジェネリックである。

このメーカーについては、製造場所まで同一のジェネリック医薬品であることが確認できます。

また、添付文書を確認していくと、

クレストールの添付文書 → https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2189017F1022_1_24/

ロスバスタチン錠「DSEP」の添付文書 → https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2189017F1030_1_08/

ロスバスタチン錠「トーワ」の添付文書 → https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2189017F1219_1_04/

クレストールとロスバスタチン錠「DSEP」の添付文書は書式が若干違うだけで、データ自体は寸分違わず同一です。多くの試験をして、データが同一ということは、中身が同じじゃないと説明できません。中身が科学的に同じということです。ちなみに、ここでは他の後発品メーカーとして東和薬品を例に挙げていますが特に他意はなく、強いて言えば先発品メーカーにラインナップされていないロスバスタチン錠10mg「トーワ」を当薬局で在庫しているくらいです。他の後発品メーカーの添付文書は、国の定める「後発品の生物学的同等性試験ガイドライン(平成24年2月29日 薬食審査発0229第10号)」に基づき、標準製剤と溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされたデータが載っています。更に余談なのですが、後発品メーカーが共同で試験している場合もあり、後発品メーカー同士でデータが同一ということもあります。

当薬局では、先発品にオーソライズド・ジェネリックがある場合、公開されているデータが同一であることを確認した上で、先発品をご希望の方にはオーソライズド・ジェネリックのご提案をさせていただいております。また、後発品ご希望の方も、オーソライズド・ジェネリックがある場合は基本的にこちらをご提案させていただいております。当薬局では、オーソライズド・ジェネリックのファクトをお伝えして、何に対してご自身が医療費を払っているのかを明確にするお手伝いをさせていただいております。

話は長くなりましたが、今年の6月にゼチーア錠にようやくオーソライズド・ジェネリックが販売予定されていることはとてもよいことですね。追って、そのデータも紹介できればと思います。

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