2020年2月19日、イギリスにおける妊娠中のマクロライド系抗生物質処方と胎児への影響を研究した「Associations between macrolide antibiotics prescribing during pregnancy and adverse child outcomes in the UK: population based cohort study」をまとめました。

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2020年2月19日、イギリスにおける妊娠中のマクロライド系抗生物質処方と胎児への影響を研究した「Associations between macrolide antibiotics prescribing during pregnancy and adverse child outcomes in the UK: population based cohort study」をまとめました。

妊娠中のお薬の使用について、窓口だけではなく、LINE公式アカウントからもご質問いただくことがございます。調剤されたお薬の他、市販薬の飲み合わせや妊娠中の影響についてもお話させていただいております。すべてのお薬が完全に安全というわけではなく、それぞれにリスクがありますが、逆に飲まずに頑張っても仕方がない場面もありますので、平素から飲み合わせやお薬の使用について主治医やかかりつけの薬剤師から情報を共有できる関係性を築くことはとても大切なリスクコミュニケーションです。

さて、今回は妊娠中の抗生剤の利用について、胎児への影響の研究をご紹介いたします。マクロライド系抗生剤とペニシリン系抗生剤を比較して、胎児への影響を解析しています。マクロライド系抗生剤とは、クラリス(クラリスロマイシン)やジスロマック(アジスロマイシン)といった名前で処方されており、ペニシリン系抗生剤はサワシリン(アモキシシリン)でよく現場では処方されています。今までは、ペニシリン系抗生剤(とセフェム系抗生剤)が第一選択薬として、マクロライド系抗生剤も妊婦には比較的安全に使えるとされています。この研究では、1990年から2016年に生まれた104605人の子供が含まれ、その母親には、妊娠4週目から出産までにマクロライド単剤療法(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、またはアジスロマイシン)またはペニシリン単剤療法が処方されました。比較対象群として、母親が受胎前にマクロライドまたはペニシリンを処方された82314人の子供、およびその子供の兄弟であった53735人の子供から構成されました。

その結果、母親にマクロライド系抗生剤が処方された1863人の子供のうち186人(1000人あたり21.55人)と妊娠中に母親にペニシリンが処方された95973人の子供のうち1666人(1000人あたり17.36人)に大きな影響があることがデータとして検出されました。マクロライド系抗生剤の妊娠初期の処方は、ペニシリンと比較して重大な奇形のリスクの増加と関連していました(1000あたり27.65 対 17.65、リスク比1.55、95 %信頼区間1.19から2.03)、特に心血管奇形(1000あたり10.60 対 6.61、リスク比 1.62、95 %信頼区間1.05から2.51)。妊娠中期におけるマクロライド系抗生剤の処方は、性器奇形のリスク増加と関連していました(4.75 v1000あたり3.07、リスク比1.58、95 %信頼区間1.14から2.19、主に尿道下裂)。妊娠初期のエリスロマイシンは、重大な奇形のリスク増加と関連していました(1000あたり27.39 対 17.65、リスク比1.50、95 %信頼区間1.13〜1.99 )。他の固有の奇形または神経発達障害について、統計的に有意な関連性は見つかりませんでした。

結論として、妊娠初期にマクロライド系抗生物質を処方すると、ペニシリン系抗生物質と比較して重大な奇形、特に心血管奇形のリスクが増加しました。妊娠中期におけるマクロライドの処方は、性器奇形のリスク増加と関連していました。これらの調査結果は、妊娠中はマクロライド系抗生物質を注意して使用する必要があり、可能であれば、さらなる研究が可能になるまで代替抗生物質を処方する必要があることを示しています。

今までの報告とは違った研究結果で、現状では妊娠中でもマクロライド系抗生剤が処方されていることもありますが、マクロライド系抗生剤を使わざるを得ない状況ではない限り、第一選択薬は引き続きペニシリン系抗生剤(とセフェム系)で様子を見ることになりそうです。実際の窓口では、該当するケースにおいては、マクロライド系抗生剤から代替できるのであれば、薬剤師から処方医にご連絡することもできます。ご心配な方はかかりつけ医、薬剤師と相談しましょう。

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