2020年2月4日、バルサルタン製剤の自主回収がもたらした大衆への影響に関する論文「Population Impact of Generic Valsartan Recall」が発表されています。

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2020年2月4日、バルサルタン製剤の自主回収がもたらした大衆への影響に関する論文「Population Impact of Generic Valsartan Recall」が発表されています。 → http://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/CIRCULATIONAHA.119.044494?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%3dpubmed

国内においても、バルサルタン製剤が発がん性物質N-ニトロソジメチルアミンが基準値を上回ったことで、自主回収が発表されたことがありますが、その後の患者さんの服用状況の変化や処方内容の変更など、アフターバルサルタンリコールについてまとまった文献はあまり目にしませんでした。また、バルサルタン製剤は発がん性物質が含まれている、という安易な情報の切り取りによって正しい医薬品の評価ができていない記事も散見され、処方する側、調剤する側、服用する側が安心して血圧のコントロールに注力できないケースもあると思います。

今回の研究は、カナダ統計局国勢調査データベースの解析によって、自主回収されたバルサルタン製剤を使っている患者さんの一群を特定して、どのような影響が自主回収後に見られたかをまとめています。55,461人の患者さん(平均年齢は76.3±7.7歳で、41.5%が男性で、患者さんの95.0%が高血圧で、5.0%が心不全)のうち、大多数(84.4%)は、自主回収から1か月以内にバルサルタン以外のアンギオテンシン受容体拮抗薬(73.8%)または自主回収されていないバルサルタン製品(8.8%)に変更されました。また、3か月経過時点で、自主回収に該当したバルサルタンを服用している患者さんの10.7%が代替薬を服用しませんでした。

自主回収前は、バルサルタン製剤を服用している一群の0.11%が1か月あたりで高血圧による救急外来を経験しており、自主回収後は、高血圧による救急外来は0.17%/月(P= 0.02)と、即座に増加しました。しかし、高血圧の入院率に変化はありませんでした。脳卒中/一過性虚血性発作の場合、救急外来では6%(p = 0.020)および8%(p = 0.037)の入院と、自主回収後は一時的に増加傾向でした。心筋梗塞または心不全のためのE救急外来または入院において、自主回収後、即時または持続的な変化はありませんでした(それぞれp ≧0.16)。これらの調査結果から、バルサルタン製剤のように多くの服用患者さんがいる一群の自主回収には潜在的な負担とリスクがあることを示唆しています。

政府機関は処方者に連絡するまで薬を服用し続けるよう勧告を出しましたが、特に自主回収された製品が、健康に及ぼす潜在的な悪影響についての警報を強めた可能性があるマスメディアのニュースを考えると、患者さんが誤解する可能性が高いとしています。主に高血圧のサンプルにおける高血圧の救急外来の増加は、自主回収されたバルサルタンの代替案の欠如が診察の増加と関連しており、バルサルタン自主回収における高血圧の意図しない臨床効果に関連している可能性があることを示唆しているとしています。

当薬局でも過去に医薬品の自主回収についての記事をまとめていますが、いづれも、すぐに服用を中止するのではなく、かかりつけの医師、薬剤師に連絡することを発信しています。冷静に事実を捉えるために、服用リスクがどれほどの大きさ、小ささであるかの説明も加えて、少しでも建設的にかかりつけの医師、薬剤師に相談できるようにしています。

「アムバロ配合錠『ファイザー』」が回収になっています。

イルアミクス配合錠HD『JG』の自主回収が発表されました。

今回紹介した論文によると、バルサルタン製剤の自主回収によって、やはり一部の方が服用を中断し、血圧のコントロールができないことによって救急外来が増えたことが示唆されました。健康に過ごせるよう、自己判断による服用中断ではなく、マスメディアでもなく、かかりつけの処方医、調剤した薬剤師にしっかり相談することをおすすめします。


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