去年と今年の当薬局の零売データをもとに、コロナ禍に関する医療受診の不要不急ラインを可視化してみました。

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新型コロナウイルスによる医療受診への影響も発表され、日経メディカル Onlineは医師会員3668人を対象に2020年3月13日~17日にかけて緊急調査を実施。新型コロナウイルス感染症の影響などによって、外来患者数がどう変化しているか聞いた。その結果、1年前の同じ時期と比べて患者数が減っていると答えた医師は全体の53.4%でした。 → https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/report/t344/202003/564922.html

薬局もまた、患者さんが少なくなっており、その反面、相談やOTC販売の需要が増えているという記事もあります。 → 【静岡新聞】薬剤師への相談増加 病院診療回避背景か、体調不良「不安で」【新型コロナ】

当薬局でも、医療相談や零売対応の件数が増えており、かつ処方箋枚数にも影響が出ているので、メディアと現場の空気感はだいたい一致しているようです。今回は、去年と今年の零売データと医療受診の心理的、時間的コストを加味したグラフを眺めて、コロナ禍が不要不急の医療に与えた影響を推測していきたいと思います。

最初に前提として、このグラフは花粉症薬1剤(セチリジンの後発医薬品)をもとに算出しています。例えば、通常だと4週間分のセチリジンだと診察+処方で合計自己負担1910円がかかっています。また、日数は保険と零売(自費)の損益分岐点をわかりやすくするために例示しており、必ずしもその日数分対応しているわけではないです。

去年の2~4月は、緑の領域(Beforeコロナ)が零売対応のメインでした。Beforeコロナの心理コストの考え方は、保険を使った総額と零売の金額を額面だけではなく、移動コストや心理コストの面で、少なく見積もって1000円(1時間は診察と薬局と移動にかかるとして、その最低時給みたいな感じです)としています。実際に零売を体感すると、利便性や心理コストで保険を使わなくても問題ないニーズの方が利用されるようになってきます。今まではそのコスト差分で保険負担分を医療費削減として、当薬局でも累計医療費削減額として公表していました。しかし、今年の2~4月は、新型コロナウイルス感染予防として、不要不急の医療受診が避けられたため、回避する心理コストが発生しました。仮に、新型コロナウイルス心理コストを2000円(特例期間中の電話診療点数増加分+心理的移動コストが従来より増加と仮定)としたとき、コロナ禍差分が新しい領域として見えてきました。このオレンジ色の領域(Afterコロナ)は、不要不急の医療受診を避け、薬局でセルフメディケーションをフォローできる領域です。実際に、面積で考えると、4倍ほど零売対応領域が広がっていることが確認できますが、これは当薬局の1年前の同じ時期と比べて、零売規模が4倍に増加していることと一致しています。

赤い領域はコロナ禍でも必要火急の医療受診であり、医師の専門治療が必要な領域です。また、水色の領域は、保険を使うよりも、零売のほうが高くなってしまう領域であり、花粉症に限定して話をすると、フランス型の医療費自己負担比率の適応が待たれる領域です。今の所、赤色と水色の領域が保険が強くカバーしていますが、医療費削減、医療資源の節約の観点からは、今後赤色の領域が専門治療として保険でカバーする範囲となり、それ以外の領域はセルフメディケーションが促進され、薬局、ドラッグストア、ネット通販などで対応することになるかもしれません。

コロナ禍の前は、零売が広がると周辺医療機関の保険診療が減るため、医療機関のリストラクションが行われると考えていました。そしてやはり、コロナ禍では、強制的にリストラクションが行われ、不要不急の医療受診ニーズの補完としてOTC販売や零売が広がりつつあります。当薬局の場合は、近隣医療機関が赤の領域、つまり専門医療に特化したため、先にコロナ禍のような事態が周辺地域で起きてしまったため、医療ニーズを満たすために零売を始めて、その拡大に勤しんでいました。そして、さらにコロナ禍によって、近隣医療機関だけではなく、世の中の医療のリストラクションが起きて、今回のような薬局利用機会の増加につながったのではないかと思います。個人的には、水色の領域をフランス型の医療保険にすることが次世代に繋がる医療保険になるのではないかと考えています。けんぽれんの提案が医療保険に反映され、次世代が困らないような医療受診、医療との関わり方を今後育んでいくことが大切です。引き続き、医療相談やOTC相談、零売対応、処方箋調剤を当薬局は承っておりますので、お気軽にご相談くださいませ。

→ けんぽれんが「2022年危機に向けた健保連の提案・平成30年度健保組合決算見込み」を発表しました。


<Pharmacy Tips !>
#LDLを70未満に抑えると脳卒中の再発を減少させることができる。
虚血性脳卒中またはアテローム性動脈硬化の証拠を伴うTIAの後、1リットルあたり70 mg未満の目標LDLコレステロール値を有する患者は、1リットルあたり90 mgから110 mgの目標範囲を有する患者よりも、その後の心血管イベントのリスクが低かった。