薬と健康の週間特集① 「ツムラ漢方製剤の使用期限の変更とPIC/Sについて」

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令和2年10月17日から23日までは「薬と健康の週間」です。

薬局お茶の水ファーマシーでも、「薬と健康の週間」啓発活動として、オリジナルポスターを店頭に置きながら、特集記事の更新に勤しみます。

今回は「ツムラ漢方製剤の使用期限の変更とPIC/Sについて」でございます。

漢方薬の使用期限が5年くらいあることは知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?クレジットカード並に期限があり、超長期間の安定性試験を合格できるくらいの漢方薬は飲み忘れで自宅の薬箱にあるケースもよくあります。「2年前にもらった漢方薬が家にたくさんあって、今回処方された漢方薬とダブっているんだよね」といったお話もあり、残薬調整のやり取りとクリニックとすることもあります。漢方薬の中には高価なものもあり(柴苓湯とか)、残薬調整をすることで医療費削減につながるので、家にたくさん薬が余っている場合は薬剤師に相談してみると良いでしょう。そのときに、いつも使っている薬局だと、2年前に処方された薬の大体のロットや期限がわかりますので、期限が切れていないかどうかも確認しつつ、残薬調整することができます。

漢方薬は使用期限がとても長くて、毎食前飲むことも多くて飲み忘れも多いので、残薬調整しがちな医薬品の一つです。そんな漢方薬で、ツムラさんの医療用漢方薬の使用期限変更が2020年9月に発表されました。今までの使用期限5年のところ、3年に期限が変更になったのです。順次流通しているものから変更があるので、家にある漢方薬と新しく処方してもらった漢方薬で新しいほうが期限短いケースもありえます。

なぜ、このような変更になったのかというと、PIC/Sという、Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme(医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム)に日本が2014年の7月に加盟したからです。PIC/SはGMP(Good Manufacturing Practice;医薬品の製造管理及び品質管理の基準)の分野で共通の基準を設け、各国の査察官にトレーニングの機会を提供することによって、世界中の査察基準を整合させることを目指しています。法的拘束はないのですが、世界中で使われる医薬品の品質管理を一定基準に合わせることで、品質管理ができていない加盟国を排除したい(輸出入させないようにする)思惑で組まれています。なぜこのような取り組みが必要かというと、医薬品の粗造、乱造、偽造は人類が薬を使われるようになった頃から問題となっており、各国ごとに品質管理を徹底的に取り締まっています。しかし、国を跨いだ取引で、各国の規制基準にはばらつきがあり、医薬品の質と安定供給を一定基準まで上げるためには、PIC/Sを組んで、基準に満たない国とは取引をさけるようにすることがグローバルで求められたのです。

2014年から日本は加盟して、ツムラさんの漢方がこのタイミングで使用期限を変更したのは、医薬品の長期安定性試験を取り直したからです。時間をかけてでも、しっかり長期安定性試験を取り直して、自主的に3年に短縮されました。現場では、期限が短くなることは痛いのですが(デッドになりやすい…)、国際基準に則って、世界中で便利な漢方薬を供給する意味において、今回の変更には賛成しております。

日本だと、医療用医薬品はPMDAが管理しており、安定性試験や品質管理をチェックしておりますが、PMDAの管轄外の薬(個人輸入の薬)に関しては、国際的な安定性試験や品質管理をパスしたかどうかを判断することはとてもむずかしいです。昨今だと、AGAで薄毛治療に海外製のPMDA未承認の医薬品を医師が販売しているケースもありますが(しかもオンライン初診で)、果たしてその薬の信頼性をどのように担保されているのかかなり疑問です。

今飲んでいる薬は安全に管理されていたものなのか、安全に作られているものなのかをくぐり抜けた医薬品を服用する前に、少しでも気になったら薬剤師まで相談してください。

今回は漢方薬の保存期限、そしてPIC/Sについてのお話でした。


<Pharmacy Tips !>
#LDLを70未満に抑えると脳卒中の再発を減少させることができる。
虚血性脳卒中またはアテローム性動脈硬化の証拠を伴うTIAの後、1リットルあたり70 mg未満の目標LDLコレステロール値を有する患者は、1リットルあたり90 mgから110 mgの目標範囲を有する患者よりも、その後の心血管イベントのリスクが低かった。