薬と健康の週間特集② 「味覚が変化する薬」
令和2年10月17日から23日までは「薬と健康の週間」です。
薬局お茶の水ファーマシーでも、「薬と健康の週間」啓発活動として、オリジナルポスターを店頭に置きながら、特集記事の更新に勤しみます。
今回は「味覚が変化する薬」でございます。
薬の中には、とても苦い薬があったり、味覚の感覚器官に影響を与えて味覚が変化する薬があります。とても苦い薬も、喉元を通れればそれで終わりというわけではなく、吸収された後に苦い薬が唾液腺に再分泌されて苦みを感じることもあります。近年のお薬はフィルムコーティング錠といって、「ヒプロメロース」(高分子多糖類、セルロースの仲間)、「マクロゴール」(ポリエチレングリコール、歯磨き粉とかにも入っている)、「タルク」(滑石、使用感を改善するために使われる)といったものでコーティングし、医薬品の成分の味を感じにくくする工夫がされています。もちろん、フィルムコーティングされた薬も、腸溶錠といって、腸で溶けるタイプのものでもなければ、口の中でアメのようになめているとコーティングが剥がれて苦味がでてしまうことには注意が必要です。フィルムコーティング錠を2つに割ったり、粉砕するときも苦味が出やすいので、苦味が出ないように半分の規格があるものや、顆粒タイプの成分がないかどうか、薬剤師に相談してみるとよいでしょう。
味覚が変化するタイプの薬は割と多く存在しており、唾液を少なくすることで、舌の味蕾の働きを抑制してしまって味が感じにくくなったり、味を感じるための微量元素である亜鉛と薬が強力に結合(キレート)して、亜鉛が取り込まれなくなってしまうことで亜鉛欠乏症になったりします。味覚の変化は2週間~6週間ほどで生じることがあるので、新しくお薬が変わった場合、薬の影響であることもありますので、副作用に味覚の変化がないかどうかを薬剤師に相談してみると良いでしょう。1年以上放置すると亜鉛療法の効果が低下することもありますので、新しくお薬が変わったときは食生活の変化にも気をつけてみましょう。

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<Pharmacy Tips !>
#火薬工場から見つかった薬
19世紀中頃に、火薬工場の従業員たちに頭痛持ちが多いことを調べた結果、ニトログリセリンの血管拡張作用が原因でした。そこから、狭心症の発作治療薬としてニトログリセリンは使われています。